私たちがまもりたい場所。

3分でわかるボルネオ

BCTJがボルネオの活動に取り組む理由

ボルネオ保全トラスト・ジャパンとボルネオとの関わりは、2004年に坪内元理事長が国際協力機構(JICA)の仕事でボルネオ島北東部、マレーシアのサバ州を訪れたところから始まります。

世界中で野生動物保全活動に関わった坪内が見てもボルネオの森は特別でした。その圧倒的な生物多様性の濃さに心を打たれ、同時にキナバタンガン川下流域がアブラヤシプランテーションに開発され尽くした現実にあぜんとします。

これはなんとかしなければいけない、と現地の野生生物局とともに残された森を守る方法を考えます。そしてたどり着いたのが『緑の回廊』でした。

このプロジェクトは、現地で生まれた『Kinabatangan Corridor of Life』というコンセプトをもとにした「流域沿いの森林保護区、野生動物保護区をつないで細長く大きな森をつくる」構想です。野生動物の生態系をまもるために保護区を繋いで細長く大きな森を生息地や移動に必要な森をキナバタンガン川やセガマ川沿いに残そうというアイディアでした。

2007年、現地に「ボルネオ保全トラスト」を設立。熱帯雨林獲得のための道筋を作ります。2008年には日本でもNPO法人ボルネオ保全トラスト・ジャパンが立ち上がり、本格的な活動が始まりました。

現地で緑の回廊プロジェクトを進めながらキナバタンガン川流域の環境保全活動に関わるうちに環境NGOやサバ州政府との関係も深まり、また野生動物と人との軋轢、という問題に直面しました。その中で「恩返し」や「吊り橋」と行ったプロジェクトが少しづつかたちになっていきます。

日本でも、資金調達活動に加えてボルネオの環境問題を広く伝えようと環境教育や啓発活動を行っています。支援してくださる方々も少しづつ増えてきました。

ボルネオは、熱帯木材やパーム油を日本向けにも大量に輸出してきましてたし、いまもしています。国産の木より安い木材。日常的な食品や洗剤などに使われるパーム油。私たちの便利で快適な暮らしの背景には熱帯雨林での暮らしをうばわれ、近く絶滅してしまうかもしれない無数の動物や植物がいるのです。

ボルネオの問題は、ボルネオだけの問題ではありません。私たち日本人にも深い関わりがあるのです。

  『3分でわかるボルネオ』を読む

ボルネオの基本情報

ボルネオ島は東南アジアのマレー半島とフィリピンの中間、赤道直下に位置する世界で3番目に大きな島です。世界で1番大きな島はグリーンランド島、2番はニューギニア島です。

面積は約74万km²。日本の1.9倍ほどで北東部の1/3がマレーシアで北部にサバ州、北西部にサラワク州があります。サラワク州とサバ州に挟まれるように石油王国で知られる小さな国ブルネイ(ブルネイダルサラーム王国)が位置し、その他の2/3はインドネシアで東カリマンタン州・西カリマンタン州・南カリマンタン州・北カリマンタン州・中部カリマンタン州に分かれます。

気候は熱帯雨林気候で、平均気温は年間を通じて25~30度。湿度は70~80%にもなります。年間降水量は3,000~4,000mmと非常に多く(日本は1,700mm、世界の平均はは880mm)、豊富な雨と赤道直下の強烈な日光が豊かないのちを育みます。

ボルネオ保全トラスト・ジャパンの活動拠点はサバ州です。面積は北海道より少し小さい73,630 km²です。

ボルネオの熱帯雨林


地球上の動物や植物は約175万種で、まだ見つかっていない生物も含めると3,000万種にもなるという説もあります。このうち50%以上の生物は、地表にわずか6%だけの熱帯雨林に生息しています。

ボルネオには200種類以上の哺乳類、260種類の両生類や爬虫類、600種類を超える鳥類、調査のたびに新種が見つかるほど種類の多い昆虫が生息しているほか植物も15,000種類が確認されていて、世界でも稀に見る生物多様性の宝庫です。

写真:ミュラーテナガザル

樹木は光合成を行い、葉が繁り、花が咲き、果実が実ります。熱帯雨林では花や果実を求める膨大な種類の昆虫、鳥類、哺乳類などたくさんの生物が生態ピラミッドを形成しており、豊かないのちが生まれ、次の世代へとつながっています。

熱帯雨林の中では高い木が寿命を迎えると朽ちて倒れます。大きな木が倒れたことで森の中に空間ができると太陽光が地面に届き、新しい木や草が生え、林冠とは異なる種類の生物が地面で生態系を作ります。こういった環境の変化が多様な動物・植物の生活を支えているという好循環になっているのです。

世界有数の生物多様性を誇るボルネオの熱帯雨林。1500万年前から現在までその姿をほとんど変えずに、生命のゆりかごとして悠然と存在していました。しかし、たった50年ほどの間でその姿は一変してしまいました。

ボルネオの野生動物

ボルネオ島は地球上でもまれに見る生物多様性の高い、いわゆるホットスポット。わかっているだけでも 288種以上の陸上哺乳類、688種の鳥類、260種以上の爬虫類、180種以上の両生類、15,000種以上の植物、数えきれない昆虫たちがひしめき合って暮らしています。その中でも特にボルネオを象徴する動物たちを紹介します。

ボルネオオランウータン

ボルネオオランウータン
「オラウータン」ではなく「オランウータン」。マレー語で「森(ウータン)の人(オラン)」という意味を持ちます。

もともとは東南アジアに広く生息していたようですが、現在はボルネオ島のボルネオオランウータンと、スマトラ島のスマトラオランウータン、2017年11月に新種認定されたタパヌリオランウータンの3種類が生きているだけです。

基本的に樹の上で生活し、寝るのも木の上で、毎日枝を折ってベッドをつくります。たまに地面に降りてきます。

チンパンジー、ボノボ、ゴリラ、人間といった他の類人猿と違って群れを作らず、一生を1人で過ごします。子供は生まれて7年ほどお母さんにべったりですが、その後は独り立ち。

主食は果実、木の葉や樹皮、たまには昆虫も。地面に降りて土を舐め、塩分をとったりもします。大好きなのは果物でドリアンやイチジクが大好物。

大人のオランウータンのオスでボス的な存在になると顔の横に「フランジ」と呼ばれるでっぱりが発達します。

生息数はとても少なく、諸説ありますがボルネオオランウータンは54,000人、スマトラオランウータンが14,600人と推定されています(日本オランウータンリサーチセンター)。またタパヌリオランウータンは新種として登録された段階で800人あまりと推定されています。過去100年間で90%も激減したと言われ、絶滅危惧種としてレッドリストに登録されています。

日本の動物園にもボルネオオランウータンとスマトラオランウータンがいます。

ボルネオゾウ

ボルネオゾウ
体が小さく、尾が長く、頭より肩が高い、といった他のアジアゾウとは違う見た目のボルネオゾウはボルネオの北部~東部に1,500~2,000頭ほどいると推定されています。もともとこの土地にいたのか、大昔に人間が連れてきたのか、詳しいことはわかっていません。

ボルネオゾウは群れで長い距離を移動しながら生活します。ほかの種類のゾウと違い、群れの中に大きなキバを持つオスゾウが何頭もケンカもせずに一緒に暮らしていることもあるようです。

ボルネオゾウの生息域はアブラヤシプランテーションの開発が1980年代から急速に進み、熱帯雨林は激減しています。森を失ったゾウはプランテーションに入り込み、アブラヤシの葉や幹を食べてしまうのでプランテーションにとってゾウは大きな被害をもたらす害獣です。銃殺や毒殺される事件も起こります。

でもゾウは昔も今も自分たちが住んでいたところで暮らしているだけ。ゾウを追い詰めたのは他らなぬ人間の活動なのです。

ちなみに、 広島県の福山市立動物園に日本で唯一のボルネオゾウ、ふくちゃんがいます。

テングザル

テングザル
その名の通りとても大きな鼻を持ったボルネオ固有種のサル。水辺の林やマングローブに群れで生活します。オス1頭に複数のメスが集まってハーレムを作りますが、家族や親戚が集まっているわけでもないようで、群れを自由に行き来する個体もいます。なかにはオスだけの群れも。

ハーレムのボスはとても大きく垂れ下がった鼻を持ちます。鼻の役目はよくわかっていませんが、大きい方がメスにモテるという説もあります。普段は樹上生活ですがとても泳ぎがうまく、川を泳いで渡る姿が見られることもあります。

テングザルは争いを好まない大人しい性格です。食べ物を争わないように他のサルが食べないような植物を食べていく道を選び、進化してきました。お腹がポッコリと膨らんでいますが、これは消化しにくい葉をなんとか消化するため大きな胃や腸を持っているから。霊長類としては唯一、牛のように一度食べたものを口の中に吐き戻して食べる「反芻行動」が観察されています。

熱帯雨林の伐採、エビ養殖場の拡大によるマングローブ林の減少によって生息数が激減しており、絶滅危惧種に指定されています。

ツノサイチョウ

ツノサイチョウ
クチバシの上にもうひとつクチバシを乗せたような突起を持つツノサイチョウは、ボルネオに8種類いるサイチョウの中でももっとも「ボルネオ」らしいサイチョウで、ぬいぐるみやポスターにも象徴的な存在としてよく登場します。

体長が1mほどもある大きな鳥ですが、巣は大木のうろを利用します。特徴的なのは、子供を育てる時に巣の入り口を泥で塗り固めてしまうこと。メスと子供は巣の中で安全に過ごし、オスが餌の果実や昆虫を運びます。

雑食性ですがなかでも果実を好み、イチジクは大好物。普段はつがいで暮らしていますが、たくさんの実がなったイチジクの木には群れができていることもあります。

オランウータンはサイチョウが飛んでいく方向を観察してイチジクのありかを知る、なんていうエピソードもあります。

  『3分でわかるパーム油』を読む