ボルネオレポート

ボルネオレポート:最近のニュース

皆さまご無沙汰しております。

雨季にはまだ早いものの熱帯低気圧の影響でいつになく雨の多いサバ州より、ここ最近の現地ニュースをお届けします。

ボルネオゾウの保全問題

今年、サバ州では4月頃から銃殺やくくり罠によるボルネオゾウの死亡が立て続けに発生し、数ヶ月という短期間での死亡数が25頭にものぼるという過去に例のない事態が発生しています。

アブラヤシ農園や村にゾウの群が侵入しサバ州野生生物局(SWD)にSOSの連絡が入る件数も増加しており、人に危害を与える可能性のある個体や群れはSWD所属のレスキューユニットが1頭1頭捕獲し離れた森に放す「トランスロケーション」を行なっているのですが、このところ村や農園を荒らすケースが同時に発生し、現場に派遣するレンジャーが不足するという事態も起こっています。このため、野生生物局では村の若者たちにゾウの習性や追い出す方法などを教えたり、ゾウ被害から作物を守れるよう農園に電気柵の設置を促すなどの対応をとっていますが、根本的な解決にはなりません。

9月27日付の地元メディア記事では、サバ州野生生物局局長が窮状を訴えています。

私たちBCTJも「恩返しプロジェクト」にて、トランスロケーション時に必要なゾウの檻やトランスロケーション時に怪我や病気などの治療で一時収容するためのパドック(ボルネオ・エレファント・サンクチュアリ(BES))の建設、BESで働くスタッフの人件費やエサ代などの支援を続けているのですが、保護個体やトランスロケーション数が増してゆき、政府やパーム産業、林業、様々な企業、一般、地元コミュニティなど多くの人々からのさらなる支援が欠かせないと日々実感しています。またSWDではマンパワーや予算だけでなくゾウの治療や飼育の知識や技術も不足しています。

1960年代よりサバ州の森を切り開き産出された熱帯材を消費し、今は多くの生き物達の住処を奪って生産されているパーム油を大量に消費しているわたしたち日本人。その裏で身体中に銃弾を受け、または小動物を狩るための罠が足に食い込み、痛いとも苦しいとも言えず静かに消えていく命たち。

このままではボルネオゾウもスマトラサイの後を追いかねません。どうにかここで恩返しを…!と切に思います。また、上記の記事にも書かれていましたが、ボルネオゾウ問題の根本的な解決には、やはり分断されてしまった森と森の間を繋ぐ緑の回廊の早期実現が欠かせないと改めて危機感を感じました。

サバ州では、オランウータン、ボルネオゾウ、テングザルなど、日本でも知られている生き物たちだけでなく、その森に暮らす様々な動植物や昆虫爬虫両生類など様々な生き物たちが暮らしています。オランウータンやボルネオゾウ達のすみかが奪われるという事は、無数の生き物達も同じく住処や命が失われているという事に他ならず、生物多様性保全の損失の大きさは計り知れません。今一度、私たちに出来ることは何か、皆さんと一緒に考え共に行動していきたいと思います。どうか皆さまのお力をお貸しください。

その他のニュース

1.マレーシアのエネルギー問題

今年5月に政権交代がなされたマレーシア。日本でもなじみの深いマハティール首相による消費税廃止やムダな公共事業の見直しなどめまぐるしく改革が進む中、先日9月18日に首都クアラルンプールで開催された電力供給産業会議での基調講演で「科学の進歩にも関わらず原発からは放射能が漏れる事故があり、放射能廃棄物をどうするかという問題も全面的に解決しらおらず、原子力はマレーシアのエネルギー問題の解決にはならない」と、前政権の原発導入計画を撤回すると宣言。

マレーシアのエネルギー問題は既存の方法でまかなっていくとし、日本のニュースでも取り上げられました。一方、同日サバ州を訪問されたマハティール首相より、火力発電所建設計画を検討するようサバ州首相に要請がなされました。

サバ州では2007年、2011年と、連邦政府による火力発電所建設計画に地元の人々が反対し中止にしてきた経緯があり、今回の候補地として原生林の残るマリアウ・ベイスン保護区のある地域の名前があった事で環境NGOや地元の人々から、より一層強い反発が起きています。

2.イギリスの団体がサバ州のオランウータン保全に100万リンギット(約2,800万円)を寄付

サバ州第2の都市サンダカンから車で40分ほど離れた場所にあるセピロック・オランウータン・リハビリテーションセンターで長年オランウータンの保護活動を支援している団体Orangutan Appeal UKにより、オランウータンの保全活動およびボルネオゾウのレスキュー活動を行なっているワイルドライフ・レスキュー・ユニットに日本円でおよそ2,800万円の寄付がなされました。同センターの補修や、レスキューユニットの車両購入費等に充てられるとの事です。

3.ウンピョウ、テングザル、バンテンの10年アクションプランが完成

個体数が減ってきているボルネオウンピョウ、テングザル、バンテン牛の保全についての10カ年行動計画が、この度、キナバタンガンにある英カーディフ大学の研究施設「DGFC(ダナウ・ギラン・フィールドセンター)」とサバ州野生生物局の共同作業より完成しまし、9月20日にサバ州観光環境大臣により発表がなされ、州政府に提出される運びとなりました。

記者会見ではDGFC所長のバノア博士が、これらの3種が密猟や高速道路建設などの開発による生息域の減少により、絶滅の危機に瀕していると訴えました。

文責:岸

コメントを残す

*