ボルネオレポート

ボルネオレポート:サバ州の収穫祭

皆さま、こんにちは。コタキナバルの岸です。

マレーシア総選挙、そしてサバにとって大切な「カアマタン(収穫祭)月」の5月を終え、イスラム教徒のラマダン明けの大祭「ハリラヤ」を間近に控えているサバ州です。

今回のマレーシア連邦下院選挙では独立以来初の政権交代となり、GST(消費税)6%の撤廃や、シンガポールとクアラルンプールを結ぶ高速鉄道計画が中止になるなど、目の回るような早さで改革が進んでいます。

サバ州には州憲法と州議会があり連邦政府とは別の独自の自治権があります。下院選挙と同時に行われたサバ州の州議会選挙は、開票直後から大荒れとなっていたものの、最終的にサバでも政権交代となりました。

そして5月と言うとサバ州は収穫祭の1ヶ月。

この選挙騒動が収穫祭に響くのでは?と懸念していたのですが、30~31日に行われる集大成のお祭りには新しい首相や大臣も会場に駆けつけ、例年通り無事盛大に行われました。


写真: 収穫祭のお祭りが行われる会場(中は自由に身動きが取れないほどの人で埋め尽くされています)

サバ州は、元々この地で暮らしていた先住民族の人々・中華系の人々・近隣諸国から出稼ぎで移ってきた人々と民族構成も半島マレーシアと異なるのですが、大きく分けて30数部族(細かく分けると200以上の支族)のエスニックグループがあり、収穫祭は、サバ州最大人口の古くから稲作をしながら暮らしてきたカダザンドゥスン族による『米の精霊に感謝を捧げる大切な伝統行事』です。

「カダザンドゥスン族」もたくさんの支族の総称で、現在ほとんどの人はキリスト教徒やイスラム教徒となっているのですが、今も昔ながらのアニミズム信仰が残されています。

収穫祭では「ボボヒザン」と呼ばれる女性の最高司祭(シャーマン)が、米の精霊を呼び戻し豊作の感謝を捧げる儀式が執り行われたり、5月1日からは州内の各地域で「ミス収穫祭」が実施され、30日~31日には各地を勝ち抜いてきたミス収穫祭がコタキナバル郊外の会場に集まり「収穫祭の女王」が選ばれます。

この2日間はサバ州は祝日となり、会場では、再現された各部族ごとの伝統家屋で、それぞれの民族舞踊や伝統音楽を披露したり、伝統料理や民芸品の展示・販売、カラオケコンテストなどが催され、ただでさえ灼熱の日差しで暑い中、会場は湯気があがりそうなほどの熱気につつまれます。


写真: 民族舞踊と音楽を披露するビサヤ族の若者たち

ミス収穫祭も昔から伝わる神話にもとづく伝統行事の1つで、昔、大飢饉が地球を襲った時、誰よりも美しかった「神キノイガン」の1人娘「フミノドン」が自ら生贄となることで世界を飢饉から救ったというものです。以来、そのフミノドンの精神を讃える意味を込めてサバ州1の美女を今も毎年選び続けているのです。

収穫祭の女王に選ばれるには、容姿だけではなく、完璧なカダザンドゥスン語を話せるかどうか、また、フミノドンのような精神を持ち合わせているかどうかという点も審査され、選ばれた収穫祭女王は「太陽の女神」と呼ばれます。

↓ 本年度の収穫祭の女王はイナナム出身の25歳の女優さんでした。

 

写真: ドゥスン・トビルン族のボボヒザン


写真: 昔ながらの精米方法、竹の楽器の作り方やカゴの編み方、ビーズ細工などの伝統を次の世代に伝えてゆく

このように自然に精霊が宿っているとするアニミズムは、日本人の私にとっても共感できる部分が多いのですが、時代の流れとともにボボヒザンの後継者が不足していたり、それぞれの民族の言語が若い世代に受け継がれなかったりと、日本と同じように、ここサバ州でも様々な伝統が存続の危機に面しています。そんな中において、この収穫祭は伝統を若い世代に伝えていくという大切な役割も果たしています。

サバ州の最大人口を誇るカダザンドゥスン族、そしてムルッ族の人々や、彼らの伝統に触れられる収穫祭のお祭り。5月末にサバにお越しになられる際は、ぜひ足を運んでみてください。

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