マレー語で「森の人」という意味のオランウータン、アジアにいる類人猿の代表格です。その名前の通り、寝るのもエサを探すのも遊ぶのもすべて樹上で、オランウータンが地面に降りてくることは通常はめったにありません。オランウータンは夕方になると、木の枝などで寝床(ネスト)を林冠部につくり、夕方寝てしまうと朝までそこで過ごしています。ネストは毎日変えますが、ふるいネストをちょっと直し再び使うこともあります。オランウータンの食べ物はいちじく、ドリアンなどの果実、木の葉、樹皮などが主ですが、昆虫を食べることもあります。
成熟した大人のオランウータンのオスは、フランジ(ホホ袋)が発達していかつい感じがします。オランウータンのメスはオスに比すとかなり体も小さいです。
昔はオランウータンは東南アジアに分布していましたが、今はボルネオ島とスマトラ島にしか生息していません。スマトラオランウータンが7000頭、ボルネオオランウータンは41000頭と推定されています(2004、Orang-Utan PHVA)。ボルネオオランウータンは3つの亜種、主にボルネオ島の西側に棲むP.p.pygmaeus(3000頭)、東側に棲むP.p.morio(13000頭)、南側に棲むP.p.wumbii(25000頭)に分かれています。オランウータンはこの100年間で90%減ったといわれ、絶滅危惧種となっています。
オランウータンは基本的には単独生活をおくりますが、母親は子どもが5-7歳になるまでは手許から放さず子育てをします。オランウータンの出産は通常1子です。オランウータンは多産ではないこと、出産間隔が長いことから、個体数の減少が始まると歯止めをかけるのがむずかしいものです。
開発の現場に地路の越された子どものオランウータンが見つかると、森で一人で暮らしていけないような年齢なら、セピロク オランウータン リハビリテーションセンターで保護されます。木登りや綱を渡るなど森に戻る訓練を受け、徐々に一人で暮らしていけるようにしていきます。ただ、人間では飢饉のときはどうするかなどは教えることはできません。オランウータンはオランウータンの手によって育てられるのがいちばんです。
下の地図はキナバタンガン川下流域のオランウータンの数を調査したものです(2003年)。LOTは保護区の番号、赤い数字はオランウータンの数です。たとえばLOT8、ここには8頭のオランウータンしか棲んでいません。オランウータンがこの中で子どもをつくって世代をうけついでいくのは至難の業です。
このまま何もしなければこのエリアのオランウータンは50年後に生きている可能性は5%以下といわれています。一方、このエリアの保護区を緑の回廊で繋ぐことができたらオランウータンの絶滅のリスクは低くなります。