2014年に完成した、BES(ボルネオ・エレファント・サンクチュアリ)内のエレファントパドック。アブラヤシのプランテーションに迷い出てきてしまったゾウを捕獲し、遠くの森に逃がす前に一時的に保護・飼育しておくための施設として作られました。当初は「普段は空っぽでも、必要なときにだけ使われればいい」と思っていました。

ところが状況は一変。そもそもキナバタンガン川流域は森が少ない状態のままなので、保護されるゾウの数は増える一方出会ったことに加えて、民家に迷い込んで人をケガさせたり、保護した後にリリースしてもまたプランテーションに入ってきてしまうゾウが出てきてしまったのです。

現地で生活する住民の安全を考えると、こうしたゾウを野放しにはできません。ついにパドックで長期飼育されるゾウがでてきました。

パドックは「一時的な飼育」を目的に作られているので、長期飼育は考慮されていません。そのため足元は衛生面を第一に考えたコンクリート。スタッフによる掃除は楽ですが、ゾウの足裏に負担がかかってしまうことは否めません。

「環境エンリッチメント」という概念があります。これは動物園で飼育される動物の生活環境を工夫して、動物たちの日常生活に変化を持たせ。単調になりがちな動物園内での暮らしを刺激的に過ごさせるための試みです。最近は日本の動物園でも取り入れるところが増えてきました。

パドックにも同じ意識を持ち込みました。施設の一部を拡張し、広げたところはコンクリートを敷かず、ゾウたちが自由に砂浴びできるような場所を作ったのです。

パドックを作った際には現地事情をあまり知らなかったため、日本の材料を使って日本で檻を作り、現地に船で運ぶという大規模な工事を行ったため、日数も費用も必要でした。今回はその経験を生かし、現地で工場を見つけて交渉し、仕事を任せました。そのおかげで時間も費用も大幅に縮小にし、わずか2ヶ月で砂浴び場を作る工事は完了しました。

いまゾウたちは自由に砂浴び場に入り、浴びたいときに砂を浴びることができます。楽しそうに砂を浴びるゾウを見ると、作ってよかったと本当に思います。

外側から見たパドック

内側から見たパドック

スタッフと比べると大きさがわかります

大雨時の対策として排水路も外側にめぐらせています

アスタ株式会社山田さん、坂東理事、大成建設ファンさん、サバ州な生成物局のBES責任者J.B.、BCTJ現地スタッフの岸さん(左→右)