きっと今日も、私たちはパーム油を食べている。

パーム油と私たちのくらし


日本人が1年間に食べるパーム油の量はおよそ4kg。

と聞いてもピンとこないと思いますが、本当の話です。食品として口に入れる以外にも洗剤や化粧品、ねり歯磨きなど非食品に使われるものも合わせると、日本人1人あたりのパーム油の年間消費量は約5kgにもなります。

出典:我が国の油脂事情 2016年 

でも、日常でパーム油という単語を目にすることはほとんどありません。それはなぜでしょうか?

大きな理由のひとつは、パーム油自体が日本人にとって馴染みが薄いからです。日本ではなたね油やごま油、オリーブ油がキッチンに並ぶことはあっても、パーム油をそのまま料理に使う家庭はまずありません。

写真:コタキナバル(ボルネオ島)スーパーにて。棚にはパーム油が並ぶ

もうひとつは、パーム油は加工食品の原材料として使われることが多いためです。加工食品の原材料に使われると「パーム油」として表示されることはほとんどなく、別の名前で明食品表示表に明記されます。

『植物油脂』という言葉をご存知ですか?手元にお菓子があったら、裏面の食品表示を見てみてください。大半のお菓子には植物油脂が含まれているはずです。

植物油脂とはさまざまな植物油(消費者庁食用植物油脂品質表示基準)をまとめた呼び名です。記載がなければどの油が使われているかはわかりません。

お菓子だけでなく冷凍食品やお惣菜、マーガリン、カレーのルーなどいろいろな食品に植物油脂が使われます。スーパーやコンビニエンスストアで販売される商品の50%は植物油脂を使っている、とも言われるほど。

それでもわたしたちが「植物油脂といえばだいたいはパーム油だ」と言うのには理由があります。

なぜなら、パーム油が便利で優れた油だからです。

大量に生産でき、価格が安い。酸化や熱に強い。食感が滑らかで口どけも良い。コスト優先で大量生産大量販売を行う企業が一番に選ぶのはまずパーム油で間違いないだろう、というわけです。

搾油工場で絞られたばかりのパーム油

良いことづくめに見えるパーム油ですが、パーム油を大量生産するためには広大なアブラヤシプランテーションが必要です。そしてアブラヤシは高温多湿の熱帯でしか育ちません。つまりパーム油を大量生産しようと思ったら、熱帯で土地を大規模に開発するほかありません。

開発の犠牲になるのは、熱帯雨林とそこに住む動物たちです。パーム油の使用が増え続ける限り、熱帯雨林の破壊も進み続けるでしょう。今日もボルネオや他の熱帯地域で森林伐採は続き、元に戻ることのない熱帯雨林の皆伐が進んでいます。

この地球規模の環境問題を前に、私たちにできることはあるのでしょうか。

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