保護区の中でさえも森林は貧弱になり、枝から枝を腕渡りしていたオランウータンは移動しにくくなっています。水が怖いので、川の対岸に渡ることができません。ボルネオでは人間用の橋をオランウータンが利用しているので、SWD、地元NGOのKOCPではキナバタンガン川の支流にロープなどをかけましたが成果がでていません。日本の動物園で廃棄消防ホースを利用したオランウータンの遊具が作られているのを知った現地から技術協力依頼がありました消防ホースは軽量、丈夫、高温高湿に強い、加工しやすい、リサイクル、撤去しやすいという利点があります。自然の中に人工物をつくるという批判もありますが、吊り橋はオランウータンの危機的状況を鑑みSWDが勧めている生物多様性保全の具体策のひとつです。
2010年6月27日、ボルネオ島サバ州のメナンゴール川に架けた消防ホースの吊り橋をオランウータンが渡ってる姿の撮影に初めて成功しました。吊り橋は、森林が減少し移動できなくなっているオランウータンのために、2008年4月、日本の動物園や地元住民の協力をえてBCTジャパン、SWD(サバ州野生生物局)、BCTが架橋した1号橋です。
【設置場所】 メナンゴール川(キナバタンガン川支流 Lot4)
【設置時期】 2008年4月
【参加メンバー】 坪内俊憲さん、黒鳥英俊さん(多摩動物公園)、水品繁和さん(市川市動物園)、岩村惠子さん(元ロカウェイ動物園)、中西宣夫さん(サラヤ)、小川光輝さん・直子さん(スカウ村にいた旅人)、寺沢孝穀さん(写真家)、KOCP(現地のNGO)
多摩動物公園、市川動植物園の協力を得て、オランウータンのキーパー、ボランティアが吊り橋のデザイン、製作、架橋作業に参加。2008年4月にメナンゴール川に設置。(オランウータンが渡ったという報告はまだない)
【設置場所】 ルサン川(キナバタンガン川支流 LOT1)
【設置時期】 2009年4月
【参加メンバー】 木村幸一さん(東山動物園)、宮川悦子さん(ズーラシア)、並木美砂子さん(千葉動物公園)、名取重広さん(設計担当)、山本達也さん(獣医)、小川直子さん(監視カメラ担当)、岩村惠子さん(元ロカウィ動物園)、中西宣夫さん(サラヤ)、KOCP(現地のNGO)、SWD(サバ州野生生物局)
東山動物園、ズーラシア、千葉市動物公園の協力を得て、オランウータンのキーパー、設計の専門家、ボランティアが、吊り橋の新規デザイン、構造計算、架橋実験などを経て、2009年4月にルサン川に架橋。
吊り橋をオランウータンが渡ったかどうか、どのような動物が利用するのかなど、架けた吊り橋の観察には、監視カメラの設置が有効です。しかし、高温多湿なボルネオ島でも使用可能な監視カメラは、いまのところ市販されていません。そこで、予算・機能・使い勝手の点から、自分たちで監視カメラを作ることにしました。市販のデジタルカメラに、赤外線感熱センサーと2週間の撮影ができるバッテリーを装着し、高温高湿の気候と野生動物の攻撃に耐えられるように改良を重ねています。