ボルネオゾウは一定のルートを群れで移動していますが、昔は足跡や鳴き声を聞くことはあっても地元の人が姿を見ることはあまりありませんでした。最近はアブラヤシのプランテーションを荒らして害獣として迫害される、小動物用のワナで子ゾウがケガをするなど人間との衝突が頻繁に起こっています。オランウータンなど他の野生動物も人間と生活圏が重なるようになり、森林の減少とともに個体数を減らす原因になっています。
地元の農家から「ボルネオゾウをなんとかしてくれ」と要請があると、SWDのスタッフがゾウを追跡、捕獲し、車両で運搬し、保護区にリリースする救出活動を行っています(BCT、BCTジャパンは資金援助をしています)。しかしこの活動は根本的な解決とは言えません。生物多様性保全のためには人間と野生動物の「つかず離れずのいい関係」を再構築しなくてはいけません。
SWDとBCT、BCTジャパンは、野生動物のケガの治療、一時的な保護、馴致(必要に応じて)、人間と野生動物双方に安全な救出作業を行うレスキューセンターの設立プロジェクトを立ち上げました。日本では、旭川市、旭山動物園がプロジェクトに参加しています。

旭山動物園で、坂東園長、ケージ製作の田島工業の担当者でデザイン会議。日本から運搬するにも(船便は体積で運搬費用が計算されます)、現地で使用するにしても、修理するにしても(部品交換できる)便利ということで、組み立て式に決定。現在は製作に入っています。
7月21日、ゾウの移動用ケージの贈呈式を旭山動物園のオランウータン舎近くで行います。

現地で使っている移動用ケージの図面を取り寄せると、ケージの幅、高さがかなり大きいもの。ケージは小さすぎるは論外ですが、大きすぎるとゾウが自由に動けて、鼻をかけてひっぱるなどしてかえって危険だそうです。
5月末、実際にどんな大きさ、どんな作りのものが使われているのか、板東さんたちと上野動物園へ見学に行きました。ゾウ飼育担当者たちから、ゾウ施設を案内していただき、インドやタイから送られてきたケージの資料や現物を見せてもらいました。
「なぜボルネオ?」とよく聞かれますが、日常生活との関わりで見ると、裏山よりも、ボルネオでの自然環境破壊の方がより身近で起きている問題なのです。
ボルネオの熱帯雨林は伐採され日本にも大量に輸入されています。園でも手作り看板用に購入したコンパネをふと見るとmade in malaysiaの文字が。伐採された後は、アブラヤシのプランテーションにどんどん転換されています。アブラヤシから採るパーム油は、即席麺、ポテトチップスなどのスナック、揚げ油、冷凍食品、洗剤などに使われ、日本人は3.8kg/人/年消費していますが、そのほとんどはマレーシアからの輸入です。日本は生活の基盤を海外に頼っています。本来オランウータンやボルネオゾウなどの野生動物のための豊かさをパーム油という形で私たちが奪っているのです。
旭山動物園は地球上の動物代表として、ヒトに対してメッセージを発信し続け、人間社会代表として動物たちと共存するための未来を探る具体的な取り組みに着手します。恩恵を受けているだけではなく恩返しを!という発想から、恩返しプロジェクトという形で、サバ州に野生生物レスキューセンターの建設を目指します。
ボルネオドネーション自販機(キリンビバレッジ)からの支援金、旭山動物園恩返しプロジェクトVOL.1「ボルネオへの恩返し」の資金、寄付などが当てられます。(2010年6月分まで更新)
1.問題のゾウを捕獲し、その場に係留する。野生なので人間が与えた餌には見向きもせず、人間が近づくと威嚇する。 |
4.ゾウを乗せると重さで車は傾き、ひっくりかえらない心配。日没後のリリースは危険なので翌日に延期。一晩でケージはゾウの鼻で半壊状態。 |
2.ケージに入れるときはゾウに麻酔をうち(吹き矢でふく)、その後解毒剤で半覚醒した状態で、足のチェーンを利用して少しずつ誘導。 |
5.保護区まで車で運搬し、麻酔をかけてチェーンをはずしてから、リリース。ゾウは一度振り向いたが、銃声を聞いて、ゆっくりと保護区へ入って行った。 |
3.ゾウが入ったケージをショベルカーで持ち上げ、トラックの荷台に移動。ショベルカーは道なき道をやってくる頼もしい存在だ。 |