ボルネオの大自然への感謝をかたちに。

恩返しプロジェクト

ボルネオの熱帯雨林は動物たちにとって快適な生活の場です。

一方で建築材、薬の有効成分、バイオテクノロジーの原料、美しい景観など人間にもさまざまな恵みをもたらします。しかし人間だけが得をするような開発が続けられた結果、森は減少し、分断され、消えていきました。動物たちは森を追われ、すみかを失います。

BCTJの活動地域であるキナバタンガン川流域ではアブラヤシプランテーション開発のためにわずかな保護区を残して熱帯雨林が乱開発されました。

河岸ギリギリまで開発されたキナバタンガン川流域写真:河岸ギリギリまで開発されたキナバタンガン川流域

生きる場所を奪われたゾウはプランテーションや村落に出没するようになりました。

ゾウの群れは一定のルートを移動しながら生活します。それまで熱帯雨林だった場所がアブラヤシプランテーションに変わってもおかまいなしにそのまま入り込み、アブラヤシの若い幹や葉を食べてしまいます。

大人なら1日に100kg近い食べ物が必要なゾウですから、甚大な被害を受ける農民はゾウを害獣として銃や毒で殺してしまう悲しい事件も起こっています。

写真:毒殺された母親をゆり起こそうとする仔ゾウ

私たち日本人もボルネオの熱帯雨林と引き換えにもたらされる建築材やパーム油に大きく恩恵を受けています。そこで、動物たちに少しでも恩を返したい、とBCTJ理事でもある旭山動物園の坂東元(ばんどうげん)園長が中心となり立ち上がったプロジェクトが「恩返しプロジェクト」です。

坂東園長が初めて現地を訪れたのは2009年。プランテーションに入り込むボルネオゾウを捕まえて森林保護区に戻す活動「トランスロケーション」を視察しました。

ボルネオゾウのトランスロケーション写真:ゾウに少し麻酔をかけて檻に入れ、移動します

くり返し使っていた檻は強度もなくあちこち壊れていて、このままではゾウにも人間にも危険がおよびます。そこで坂東園長が動物園での知見を生かし、頑丈で使いやすい檻を製作し、2台を寄贈しました。

ゾウ対策に追われるサバ州野生生物局(Sabah Wildlife Department, SWD)から支援の要請を受け、BCTJと旭山動物園が共同でレスキューセンター建設に着手。構想から5年、様々な企業の経済的、技術的な支援を受けながら2014年に屋根付きのボルネオゾウ保護・一時飼育施設が完成します。

パドック写真:ゾウのパドック

パドックの内部写真:パドックの内部を調べる坂東さん

さらに現地での活動を支援するために、ダイハツ工業株式会社様の支援を受けて小型でパワーのある4WDの軽自動車「ダイハツ HIJET」を2016年に寄贈しました。

ダイハツ HIJET

2015年からはこの施設で野生に返せないゾウの飼育が始まりますが、サバ州の野生生物局は許容量をオーバーしたボルネオゾウの保護を続けており常に財政がパンク状態。BCTJは施設のスタッフ人件費、エサ代の継続的な支援を続けています。

写真:主なゾウのエサはネピアグラス(下)とバナナの幹(上)

2017年には施設の改善工事を行い、敷地内に砂場を作りました。また新施設の建設計画も始まっています。

ゾウによる農業被害

写真:プランテーションでアブラヤシを食べるボルネオゾウの群れ

ゾウは毎日体重の5%のエサを食べると言われてます。体重2トンのゾウなら80~100キロのエサが必要です。アブラヤシプランテーションに入り込んだボルネオゾウは、アブラヤシの葉っぱだけでなく、若い幹を倒して柔らかい部分を好んで食べます。

森とプランテーションがとなりあう場所では、数十頭ものゾウの群れがプランテーションに入り込んでしまうこともあります。群れがプランテーションに居座ると所有者は大きな損害を受けるため、それらのゾウを害獣とみなして毒殺、銃殺してしまう事件も起こります。